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2004.2 February |
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| 特集 国語科の説明責任とは何か |
| 【提言】 |
国語科における「説明責任」の意味と今日的課題を考える |
| (1) |
美しい日本語 |
市坡よし子 |
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一 はじめに 国語を教えるということ
もう十数年も前のことになる。金田一春彦さんが倉敷で講演されるというので、最前列で拝聴した。
「国語辞典の「ゆ」の項を引いてみますと、美しい言葉が並んでおります。」
帰って早速辞書を引いた。湯上がり、由緒、夕風、夕暮れ、夕焼け、浴衣、雪明かり、雪化粧、雪割草…。以来「ゆ」の話は、国語を語る時の定番の枕となった。
「日本語がこんなに美しいのは、日本の自然が美しく、日本に四季というものがあるからでしょう。そして、その自然の美しさや季節の情趣を鑑賞する心を、私たち日本人が持っているからだと思います。」
日本の自然の美しさについて、鎌倉時代に道元禅師はこう詠んでいる。
春は花夏ほととざす秋は月冬雪冴えて冷しかりけり
春夏秋冬の景色の代表を無造作に並べているが、日本人が古来から第一にめでる自然の代表と言える。江戸時代の良寛和尚は、辞世の歌にこう残している。
形見とて何か残さん春は花夏ほととぎす秋はもみぢ葉
自分は形見に残すものは何もないけれど、自分の死後も自然はなお美しい、これが自分のこの世に残す形見になってくれるだろう。
この美しさを伝えたいと思った。ある国語、一つの国の言葉の語彙体系は、その国の文化の牽引だと言われる。中学校の国語教室の中で、日本にはこんなに美しい日本語という文化があるということを、生徒たちに伝えたい。それは、美しい日本語を愛し、いつくしんでほしいという願いでもある。美しい日本語というささやかなメッセージを贈りつつ、二十一世紀を担い、国際社会に生きる日本の若者を育てるという国語教師の仕事に、誇りと幸せと責任を感じながら歩いてきた。
二 国語科における説明責任とは
アカウンタビリティ(accountability)という英語は、アカウンティング(accounting・会計)とレスポンシビリティ(responsibility・責任)の合成語で会計責任のことである。英語辞典には「責任、責務、釈明義務。responsibilityとは異なり、果たせば報酬を伴う。」と書かれている。費用対効果の論理が教育界だけタブーの時代ではない。
学校のアカウンタビリティが、教育目標の実現に対する「この学校」としての責任であるならば、国語科における説明責任とは、国語科の目標の実現に対する「授業者の私」としての責任と言えよう。それは、国語教育に携わる者として、言語の教育としての立場を再認識し、生きる力をはぐくむ国語教育の推進に努める覚悟のことである。
今回の学習指導要領の改訂で、目標に「伝え合うカ」が位置付けられた。「人と人との関係の中で、互いの立場や考え方を尊重しながら言葉によって伝え合う力」のことである。つまり、言葉が行き交うそのこちら側と向こう側に人がいるということであり、人と人を結ぶための言葉を学ぶということである。
絶対評価についても、「国語への関心・意欲・態度」「話す・聞く能力」「書く能力」「読む能力」「言語についての知識・理解・技能」指導要録の観点に照らして、私はこの子たち、この子にその態度や能力を養うことができたか、その点検と改善が求められている。
国語科における説明責任とは、まずは、国語科の目標・計画等を事前に説明すること、次に、結果・成果を報告すること、そして、残された課題に対する今後の取組を説明することであろう。そのためには、国語科の目標の確認と、評価方法の開発が求められる。
三 実践から
昨秋、第二十三回中国地区中学校国語教育研究大会に参加させていただいた折、すばらしい授業を拝見した。倉敷市立玉島北中学校二年五組、青木奈緒美先生の「話すこと・聞くこと」のご実践である(資料1)。ブックトークは、読むことへの動機・意欲を高めるための「読む」単元であるが、授業では、自分が魅力を感じた本の内容を伝えるために工夫して表現したり、伝えようとする思いを尊重して聞いたりする能力を高めることをねらいとして「話す・聞く」単元として設定されていた。生徒は、前年度、コンピュータを活用して一冊の「読書紹介」を発表した。今回は、メインとなる本を一冊選んで、テーマを決め、資料を集め、スライド画面と発表原稿を作成し、プレゼンテーションによるブックトークを行った。スライド画面を作成することは論理的な構成や展開を考えることであり、発表原稿を考えることは語句の選択や文の効果的な使い方を考えることである。「話
すこと・聞くこと」におけるブックトークの手法は、自分のものの見方や考え方を深め、認識の対象範囲の広がりや思考の深まりを創出した。また、生徒たちの発表は、話し言葉そのものをより豊かにしようとする態度に満ちていた。まず、ブックトークのテーマの設定に感心させられた。「悲しみ」のテーマで『鉄道員−ぽっぽや−』『霞町物語』『銀河鉄道の夜』の三冊、「言葉」をテーマに『常識として知っておきたい日本語』『アントン・ウイッキーの日常英会話』『The Sorcerer's Apprentice(魔法使いの弟子)』の三冊、「おしゃべり大好き!」というテーマ(資料2)で『赤毛のアン』『おしゃべりネズミの手紙』『のはらうた』の三冊など。スライド画面は個性豊かでそれぞれ工夫が見られ、発音発声、イントネーション、間の取り方、アイコンタクトまで、鍛え抜かれた話し言葉であった。発表後、感想を述べる場面があったが、その時の生徒の言葉にも驚かされた。「スライドはシンプルで、言葉が充実していました。」「○○さんの発表は、話し方として完成形に近いと思います。」
・・・・・・(以下、本誌をご覧ください)
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