2004.6 June
特集 「話すこと・聞くこと」の力を鍛える
【実践提案】 私の考える「話すこと・聞くこと」の指導
(1) 生きた言葉で相手に伝えるスピーチの指導
 〜スピーチメモの工夫を通して
八木千枝子
一 はじめに

 担当の二学年では、週一回の学年朝会での一分間スピーチや学級の朝の短学活でのニュース発表などの話す活動が通年で行われている。このように「話す・聞く」活動は日常生活に大きく関わり、国語科で実践したものをぜひ活用させたいと考えているところである。今回は、スピーチメモ作成の工夫を通して、より相手意識を持たせることをねらいとし、原稿にとらわれすぎず生きた言葉でスピーチに取り組ませた実践を紹介したいと思う。

二 生徒の実態とねらい

 昨年度からこの二学年を見てきて、話す力が備わってきているかというと、不安なところが多々ある。原稿を見ながらただ読むだけで、相手に伝えるということをしっかり意識できていないようである。
 そこで、今までの自分のスピーチ活動を振り返ってのアンケートをとったところ、やはり「話す」活動での相手意識がやや低いことがわかった。話すのが速すぎたり、用意したメモや原稿ばかりを見て発表したりということが多いと生徒自身も感じているようだ。
 これらの結果から、次の二点にねらいを絞って、指導を試みた。
(1)聞きやすい発表を心がけさせること。(声の大きさやはっきりとした口調)
(2)できるだけ顔を上げて相手の反応を確認しながら発表をさせること。

三 題材について

 まずは、スピーチの題材に何を取り上げるか。一年次では、
(1)「友情」ってなんだろう〜スピーチの会を開く〜(『光村図書 一』)
(2)好きな教科について
以上二つの題材でスピーチの指導を行ってきた。生徒が話したいと思うような、また、仲間の発表を聞きたいと思うような興味の持てる題材をと考えた。そこで、生徒一人ひとりに写真を用意してもらい、それについてスピーチをするということにした。いつの写真でもいいが、できるだけ自分が写っていて思い出の深い写真を選ぶように指示した。

四 実践

(1)導入
 過去に同様の実践がないため、教師自身が写真一枚とスピーチメモせ用意し、スピーチ例を示した。ねらいをしっかり意識させるため、教師自身も生徒の反応を確かめながらゆっくり話すことを心がける。ここで、生徒にイメージをつかませる。
(2)スピーチメモ作成
 ねらいである「相手の反応を確かめながら」ということの達成には、このスピーチメモをいかに作成するかが重要なポイントとなると考えた。今回は、野口芳宏編『話すこと聞くことマスターカード 中学校』(明治図書、二〇〇二年一月)にある表を参考にさせていただいた。一年次でのスピーチの指導でこの表を一度用いているので、どういうものであったか想起させる。
 大きく三つの話題を中心に話すこと、それぞれの話題に対して二つ程度の事柄を付加することを説明した。なるべく短い言葉でメモ用紙に記入することにも気を付けさせた。メモをじっと見ることを避け、相手に伝えるのだという意識を持たせるためである。また、相手の反応を確かめることができるようにするためである。メモはあくまでも「助け」となるためのものであり、一字一句間違えないようにスピーチする必要はないことを伝えておく。
 このメモの作成時に、「その三つの話題が思いつかない。」「何を書いたらいいのかわからない。」という声もあった。そこで、そういう生徒には「時」「場所」「エピソード」の話題でメモを作成することを助言した。

・・・・・・(以下、本誌をご覧ください)