2005.10 October
特集 個に対応する国語科教育[2]―補充学習
【特別寄稿】  個に対応する学習メソッドの展開 高階玲治
生徒たちは今

 平成16年12月のOECDによる国際学力比較の調査結果は、わが国に大きなショックを与えた。数学リテラシーは前回の1位から6位、国語読解力は同じく8位から14位だったからである。
 国語の「読解力」は従来の意味とは違って多様な知識活用力や応用力であるが、この結果から知識獲得型のわが国の教育のあり方に大きな課題が見出されたことは確かである。
 一方、生徒の学習意欲の面でも大きな課題が見出されている。
 最近、国立教育政策研究所教育課程研究センター(以下、国研調査)をはじめベネッセ(以下、ベネッセ調査)などで生徒の実態調査を行っているが、そこに見られる調査結果は生徒たちが今どのような問題を抱えているかを伝えてくれている。
 例えば、最近の高校生の「学校以外での勉強時間」について「まったくしない4割」という国研調査がある。
 実のところ、こうした調査結果は「全国的な傾向はこのようですが、あなたの学校はどうですか」というメッセージなのである。
 それぞれの学校は全国的な問題傾向を自校課題化する努力が足りない、と考える。
 例えば、今年4月にベネッセで行った調査がある。中・高校生が「もっと勉強しておけば」と後悔しているというのである。「今までにもっと勉強しておけばよかったと思う」生徒が中学生で7割、高校生で8割である。この実態をどう考えるべきであろうか。
 自校課題化とは、このような生徒の実態をリサーチして、それに対応できる方略を学校や教師が創り出すことである。

ジレンマに陥っている生徒たち

 「近頃の生徒は勉強しない」と嘆く教師は多い。確かにそうであるが、生徒のほとんどは「勉強は大切だ」と考えているのである。国研調査では8割以上9割近い生徒がそう答えている。
 その傾向は小学生から変わらない。それでいて「勉強が好き」は小学生で4割、中・高校生で2割以下という結果である。目の前の勉強が好きでないのである。そのため、毎日の家庭学習を「やらない」生徒が中学一年生から急増する。家庭学習をしなければ当然授業がわからなくなる。授業が面白くないからますます勉強しなくなる。気づいたときには進級や進学が目の前である。
 勉強を大切と考えながら学習行動ができない。そのため後悔の気持ちに陥る。きわめてよくないことに、最近の生徒は後悔しても勉強しないことである。
 生徒はジレンマに陥っているのである。
 その結果として、家庭での学習時間を見ると中学一年生から「ほとんどしない」生徒と「2時間以上」する生徒が開きはじめる。家庭学習の二極化傾向が顕在化してくる。
 だが、勉強しない生徒がこのままずるずる落ち込んでいいのだろうか。
 実は生徒は「上手な勉強の仕方がわからない」と言うのである。中学生の74%、高校生の80%がベネッセ調査でそう答えている。また、「どうしてこんなことを勉強しなければいけないかと思う」と考えている生徒は中学生で56%、高校生で58%である。授業内容に意味を見出せない、あるいは意味を教えてもらっていない生徒たちである。
 この問題に学校も教師も正対すべきである。
 教師それぞれは、生徒が求めている「勉強の仕方」の指導や、学習内容の意味についての指導をどの程度行っているであろうか。

自学自習する生徒は伸びる

 生徒の学習のあり方について多角的な分析が必要であるが、国研調査の中に興味深い内容がある。それは、塾などでの学習内容と成績との関係を示す調査である(資料1)。
 中学校二年生を対象とした調査であるが、設問は「次の各教科について、塾で勉強したり、家庭教師の先生に教わったりしているものがあれば、その内容はどれに近いですか」というものである。点数の高いものが成績がよい。
 そこで、A「学校の勉強より、進んだ内容や、むずかしい内容」とB「学校の勉強でよくわからなかった内容」を比べてみる。
 すると、Aのタイプが断然成績がよいのである。つまり、Aは「予習タイプ」と呼ばれる塾で、Bは「復習タイプ」の塾である。
 なお、C「左のどちらでもない」は「混合タイプ」の塾である。
 生徒の中には「遅れがちな生徒」や「理解の早い生徒」がいるから、適切な塾を選ぶ必要があるが、「予習タイプ」と「復習タイプ」でこれほど成績に違いが見られるとすれば、学校の指導も見直す必要がある。
 そこで、教師の出す「宿題」を見てみると「復習タイプ」の宿題がほとんどなのである。しかも大量に出している教師がいる。それは改めるべきではないか。むしろ、予習的な学習に転換する必要があると考える。

・・・・・・(以下、本誌をご覧ください)