一 子どもを取り巻く状況
まず最初に、子どもを取り巻く社会の情報化について見てみよう。パソコンや携帯電話の利用について、全国規模で調査しているものはあまり多くない。その中で、比較的サンプル数が多い、ベネッセ教育開発センターが行った「第一回子ども生活実態基本調査」を利用することとする(注1)。
図1に、家でのパソコン利用状況を示す。家でのパソコン利用が「週に5日以上」「週に3〜4日」と答えた人をあわせると、小学生で20.2パーセント、中学生では29.6パーセント、高校生では24.3パーセントであった。パソコンが「家にない」と答えたのは、小学生で21.9パーセント、中学生では15.8パーセント、高校生では15.0パーセントであった。一方、すべての学校にパソコンはあるが、学内での利用は、小・中・高校生とも、「ほとんど使わない」が約60パーセントである。また、「週に1〜2日」というのは小・中学生で約20パーセント、高校生で約30パーセントである。このことから考えると、学内でパソコンを利用する頻度は少なく、よく使う子どもは学校外(自宅のパソコン)が中心である。
利用の内容として、小学生では「ゲームをする」が圧倒的に多く、次いで「インターネットで趣味や遊びのことを調べる」「インターネットで勉強のことを調べる」「絵を描く」ことに使う。中学生では、「インターネットで趣味や遊びのことを調べる」が圧倒的に多く、次いで「ゲームをする」「インターネットで勉強のことを調べる」「電子メールをやりとりする」となっている。高校生では、中学生と同様、「インターネットで趣味や遊びのことを調べる」が圧倒的に多く、次いで「ゲームをする」「インターネットで勉強のことを調べる」「文章を書く」となっている。
一方、携帯電話の所有率は、小学生の段階では二割程度と少ない。中学生になると約半数となり、高校生になると90パーセント以上が携帯電話を所有している。小学生は、あまり頻繁に使っていないが、「家族にかける電話」がもっとも多い。次いで、「家族に送るメール」となっている。中・高校生では「友だちに送るメール」がもっとも多く、次いで「インターネット」の利用となっている。
携帯電話は高校生段階でほとんどが所有しており、その主な利用方法は通話ではなく、メールやインターネットである。携帯電話のメールの入力スピードなどは、とうてい子どもたちにはかなわない。当たり前のように、情報機器に親しんでいるのである。この点を十分踏まえて、指導を考えていかなければならない。
二 情報社会で求められる能力
かつては、仕事を求めて都会に人が集まってきた。情報社会が進展する中で、どこでやっても不利にならない仕事が増えている。連絡はすべて電子メール、会議も電子会議、集まる必要がない。グループウェアを導入している組織などでは、提案や報告はもちろん、プロジェクト管理やノウハウの蓄積にいたるまで、ネットワークで管理されいつでもどこでも参照できる。情報社会の進展は、時間と距離の概念を大幅に変えてしまった。
組織に属していない人(組織から離れている時間)でも、各人は文章を作成し、自由にメッセージを発信できるようになっている。実際、メーリングリストに参加したり、電子掲示板やブログ等を使ったりして、情報を発信する人も増えてきている。書くことを生業としない人がこれだけ多くの文章を書く時代は、有史以来初めてであろう。
このような状況なので、情報社会では文章を書く力が不可欠である。逆に、文章をしっかり書けなければ、情報社会の恩恵を受けるどころか、不利益を受ける可能性さえある。
それでは、具体的にどのようにすれば、文章をうまく書けるようになるのであろうか。それを考えるために、まず国語の力について見てみよう。
平成16年2月3日の文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」によると、これからの時代に求められる国語力を二つの領域に分けて捉えている。
@ 言語を中心とした情報を処理・操作する領域
A 国語の知識や教養・価値観・感性等の領域
このうち、@の領域は「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」の四つの力によって構成されている。Aの領域は@の領域の基盤となるものであり、そのうち「教養・価値観・感性等」はすべての活動の基盤となるものである。「国語の知識」とは、語彙、表記や文法等に関する知識である。
ところでその答申では、図3に示すように、国語教育における重点の置き方を、発達段階に応じて変えるよう提起している。この図から分かるように、年齢が低いうちは「感じる力」「想像する力」に重点を置き、青年期では「考える力」に重点を置くことを求めている。この「考える力」というのは、分析力や論理構築力を含む論理的思考力である。そして、それらを使って組み立てた自分の考えや思いなどを表すために必要な表現力が、「表す力」である。前でも述べたように、情報社会では、書いて伝達したり仕事をしたりする比率が高い。したがって、自分の考えや思いを文章として表す能力=書く力が求められる。
注1 この調査は二〇〇四年に実施され、小学生四千二百人以上、中学生四千五百人以上、高校生六千人以上の回答を基にして分析している。
図1 家でのパソコン利用(2004年)
図2 携帯電話の所有率(2004年)
図3 発達段階に応じた国語教育における重要点の置き方のイメージ
・・・・・・(以下、本誌をご覧ください)
|