2008.03 March
特集 創意を生かした実践研究、大公開!
【公開します! 私の実践&教材研究】   (1)自己紹介作文からクラス紹介作文へ
 〜文章表現力の向上と生徒間の親睦を目指して〜
高木伸幸 鹿児島県/ラ・サール中学・高校

はじめに

新年度の最初の授業で必ずと言ってよいほど行われるのが生徒たちの自己紹介である。特に新入生の場合は、授業のたびに自己紹介をやらされ、生徒たちはいささかうんざりさせられたりもする。しかし学級経営という観点から見た場合、初対面の生徒たちが互いに理解し合い、親睦を深めるきっかけ作りの行事として、自己紹介が大切であるのは言うまでもない。また国語の教科指導の観点から言っても、初対面の相手に自分を理解してもらえるように説明する自己紹介は、重要な日本語の訓練と言える。

筆者はこれまで学級担任として、年度始めの一時期にクラスの親睦を図る目的で、朝礼や終礼を利用した自己紹介のスピーチを何度か取り入れてきた。また国語の教科担当者として、初めて受け持った学年の授業の第一回目には必ず自己紹介作文を書かせてきた。

今年度(平成十九年度)、ラ・サール中学校一年生(四クラス一五八名)を担当するにあたって、筆者はこの自己紹介を国語の授業の導入に有効活用することで、文章表現の訓練と学級・学年の経営に一石二鳥の効果を生み出すことができるのではないかと考えた。すなわち、一時間目に全員で自己紹介作文を書くことからスタートし、二時間目に自己紹介作文を集約した班紹介作文を作り、三時間目に班紹介作文を土台にクラス紹介作文をまとめる、という授業である。以下、その実践の詳細を記す。

一時間目(自己紹介作文)

まず本実践の出発点として、全員に自己紹介作文を書かせた。字数は三六一字以上四〇〇字以内、つまり原稿用紙の最後の二行に収まることを条件とした。また漫然とした自己紹介になることを避けるために、次のア〜ウを自己紹介のポイントとして設定した。


ア 自分の長所(または好きなこと、将来の夢)

イ 自分の短所(または苦手なこと)

ウ 一年間の目標(中学校一年生として必ずやり遂げたいこと)


すぐれた文章の条件の一つとして、書き出しから結びまで、明確なテーマの下に有機的に統一されていることが挙げられるだろう。特に原稿用紙一枚程度の短い文章の場合、その条件は大切と言える。自己紹介の文章を書くことにおいても、自分に関する断片を継ぎはぎするのでなく、一つの明確なテーマをもって記した方が、相手に理解してもらいやすくなると考えられる。つまり右の三つのポイントは、文章にただ盛り込めばよいのでなく、それらがうまく関わり合い、繋がり合った形で記されなければならない。生徒たちにはそのことを執筆の留意点として説明した上で、三つのポイントが一つのテーマで統一された自己紹介作文の例として、筆者が書いた文章(資料1)を配布し、読ませた。この拙文では、国語を全体のテーマとして据え、そこに関わる〈夢(ア)〉や〈苦手意識とその克服(イ)〉、〈一年間の目標(ウ)〉といった形で統一性をもたせたつもりである。

執筆前の文章構想としては、まずア〜ウのポイントについて、生徒各自のノートに箇条書きさせた。次いでそれらの関連性について考えさせ、より関わりの強い材料を選んで文章を書き出すように指示した。

以上の説明や構想の時間も含めて、50分の時間内に書き終わることを目標に取り組ませた。七割程度の生徒たちは時間内に終えることができたが、残りの者は宿題とした。次の授業の開始時までに、ほぼ全員が書き上げ完成させることができた。資料2―(1)・(2)にはそれらの中から二つの作品を挙げている。

(1)に見るT・E君は、国際弁護士になるという自分の〈夢〉に向けて、友達作りの大切さを記し、(2)に載せたH・I君は、医者になるという同じく〈夢〉に向けて、苦手科目の国語の克服やコミュニケーションの大切さを書いている。ともに自分が今何をすべきかを記すことで、文章に統一感をもたせた自己紹介作文と言えるだろう。

二時間目(班紹介作文)

本時はグループ活動によって一つの文章をまとめる一時間である。



・・・・・・(以下、本誌をご覧ください)