2008.08 AUGUST
特集 国語教師の忙中閑
【提案】私の「忙中閑」―内容&方法   (1)普段と違った何かから
高橋 伸(北海道札幌市立中央中学校)

いつもと違った風景を眺めたい。ふっと思うことはありませんか。自分を知る人のいないところで。とりあえずその間だけ、学校のことは忘れて。

現実、学校生活は何せもう忙しい。職員室の椅子に座る暇もないほどに。睡眠時間を削って。毎日が学校と家の往復、などなど。それでも、そんな生活の中で、自由に動ける時間があったなら、ぜひ推奨したい。「普段とは違う何か」に身を置くことを。


一 普段とは違う土地で

地元を離れるとなんだか心が浮き立って眠れない。意味もなく夜中まで小路を歩き回る。朝も早く目が覚めて、近所の公園でラジオ体操に見入ったりする。不思議なことだ。

違う土地では、看板も野の花も、新鮮に興味深く思われる。違う場所に身を置き、その土地の流儀に感心したり、バスの乗り方にとまどったりすると、地元にいるときより、脈拍数が上がっているように感じる。健康にもよさそうだ

とはいうものの、知らない土地へ行くのはいろいろと大変だ。時間もお金もかかる。けれどもその時間は、自分のありさま(意外と臆病だったり、図々しかったり)を捉えなおすことのできるいい機会であると思う。

例えば他県の研究大会に参加するのはどうでしょう。十月には、北海道の東、北見市で小中国語の研究大会が開かれます。景色も空気も違いますよ。

二 普段とは違う役割を

話し相手は、教師と子どもと保護者。会話の中身は子どものことばかり。普段はそんな生活ではないだろうか。

コミュニケーション能力を高める、と題した講演を聴いたとき、こんな自己チェックの項目があった。

■この一週間で違う職種の人、何人と話しましたか?

苦しい問いである。私がその一週間に、違う職種の人と話をしたのは、家族と近所の魚屋さん合計三人であった無念である。

子どものコミュニケーション能力を高める以前に、まず教師の能力こそ高める必要がある。そのためには、時々意見や情報を交換する学校外の知人が三十人は欲しい、と結ばれた講演であったが、会場からの帰り道、教師たちの背中は一段と丸いように見えた。

総合の学習の中で、子どもたちは学校以外の様々な環境から多くのことを学んでくる。普段は役割が固定している教師も、同じように普段とは違う役割を試してみたい。例えば休みの日に、書店で一日働かせてもらう。本屋さんで働く子どもを見ているのと、実際に自分が働いてみるのでは、当たり前だが緊張感も達成感も違う。本の乱れをなおすのは、整理整頓のためだけではなく、売れ筋を知るためでもある、なんてことがわかったりして嬉しいし、知識不足でお客さんに叱られて、背筋が伸びたりもする。

例えば本屋さん(あるいは花屋さんでも)で一日働くのはどうでしょう。総合の学習などでつながりがあれば、わりと簡単に受け入れてくれます。本好きなあなた。一度は本屋さんに憧れたでしょう。



(以下、本誌をご覧ください)