2008.11 NOVEMBER
特集 視野を広く、アンテナを高く!―諸外国の国語教育に学ぶ
【特別寄稿】   クリティカル・リーディングのすすめ
有元秀文(国立教育政策研究所 教育課程研究センター総括研究官)

一 クリティカル・リーディングとは何か

クリティカル・リーディングとは、「読んだことについて評価したり批評したりすることである。」と言っても日本文化から生まれた考え方ではないから理解して授業で実施するのは簡単なことではない。しかし、要領をつかめば明日からでもできる。

読んだことについて評価・批評するのは二つに大別できる。

一つめはテキストの文体や表現が効果的かどうかを評価することである。

二つめはテキストの内容を評価することである。意見文や評論などの論理的なテキストだったら筆者の意見について評価する。物語や小説なら登場人物の行動について評価する。

具体例を挙げよう。

中学の「少年の日の思い出」なら、「ちょうを粉々に押しつぶす終わり方をどう思いますか。」が表現の評価、「僕のエーミールへの謝り方についてどう思いますか。」が内容の評価になる。こういう聞き方に慣れていない子どもには、授業中の発問は「どう思いますか」より「賛成ですか反対ですか。どうしてですか。」の方がわかりやすいだろう。

高校の「アインシュタインの手紙」なら、「アインシュタインの手紙の書き方は、『人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?」というテーマを解決するために効果的だと思いますか。」が表現の評価、「『人間には本能的な欲求が潜んでいる。憎悪に駆られ、相手を絶滅させようとする欲求が!』というアインシュタインの考え方に、あなたは賛成ですか。」が内容の評価になる。


ニ なぜクリティカル・リーディングをしなければならないのか




(以下、本誌をご覧ください)