2010.10 OCTOBER
特集 追い風の中の古典授業
【論文】
(1) 古典に他誌興味・関心喚起の方略
渡辺春美(高知大学教授)

はじめに

新学習指導要領によって伝統的言語文化の教育の充実が求められることになった。この古典を中核とした教育の充実は、学習者の学習の内面化なしには成り立ち得ない。それは、興味・関心の喚起、維持、発展を学習の基盤とすることによって成立する。まず、古典の創造的受容における興味・関心喚起の方略を提示し、併せて、その方略を活かした指導計画を『枕草子』を例に考えたい。

一 創造的読みの原動力
  ―興味・関心

古典は、文芸作品を含めて、時代を生きた人々の生活と精神の記録である。古典が、それ自体で価値を内包しているのではない。長谷川孝士の言うように、「古典を古典たらしめるものは実は読み手主体なのである。その価値も意義も、読み手主体がそれを発見し、引き出して、初めて存在するのである。要するに、古典から読み手への働きかけと読み手から古典への働きかけと、この相互作用のうえに、初めて古典が古典として成立し機能する」と考えるのが妥当である。私たちは、「相互作用」を通して古典をイメージ化し、そこに様々な意味を見出す。それは、現代の生活と精神を相対化し、反省を促し、生きることへの指針、示唆を得させる。ここにこそ古典の生命があり、学ぶ意味が見出される。

このような価値発見にいたる読み手の原動力となるのが興味・関心である。これなしには、古典に働きかけ、その価値を豊かに見出すことはできない。また、その価値を実感することが、古典への興味・関心を往還的、螺旋的に確かなものへと高めていくのである。

二 古典への興味・関心喚起の方略

古典の読みにおいて、興味・関心は、たえず喚起され、維持され、高められねばならない。その方略を以下に考えたい。

1 教材の開発・編成



(以下、本誌をご覧ください)