一 はじめに
平成十年七月の教育課程審議会答申において、「文学的な文章の詳細な読解に偏りがちであった指導の在り方を改め、自分の考えをもち、論理的に意見を述べる能力、目的や場面などに応じて適切に表現する能力、目的に応じて的確に読み取る能力や読書に親しむ態度を育てることを重視する。」と示されたことから、文学作品教材の取り扱いについて様々な検討がなされてきた。さらに二〇〇三年のPISA調査の結果を受けて、読解力そのものの捉え直しが行われてきた。それまで日本で行われてきた読むことの指導は内容理解を主目的として行われ、文章に書かれていることとを正確に捉えることのできる力が読解力と考えられてきた。しかし、新学習指導要領では「読むこと」において「文章を読み比べるなどして、構成や展開、表現の仕方について評価すること」という指導事項が挙げられ、内容理解だけでなく、作品を分析した後、その作品に対する評価をすることまでを読解力と規定している。
本稿では「文学的な文章の詳細な読解」そのものについては肯定的な立場をとりながら、詳細な読解だけに「偏りがちであった指導」を改善し、新学習指導要領で示されたような読解力を「書く」活動を取り入れることで向上させていきたいと考える。「読むこと」と「書くこと」を関連づけた学習活動は、筆者独自の実践ではない。これまで、青木幹勇氏の「第三の書く」や首藤久義氏の「翻作」、府川源一郎氏の「書き換え」等の実践で広く行われている。これらの実践は「表現活動を通した精読の方法」であると首藤氏が言うように、書くことによって詳細な読解が行われることが、その特長であると言える。
読むことと書くことを関連づけて指導することの意義について香西秀信氏は次のように述べている。
(以下、本誌をご覧ください)
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