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憲法を学ぶための基礎知識
論点 日本国憲法 [第二版]

編著/監修
安念 潤司
小山 剛
青井 未帆
宍戸 常寿
山本 龍彦
体裁
B5判  264ページ
定価
2,860 円(消費税込み)
本体価格+税
2,600 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-6307-7
C3032 \2600E
発行日
平成26年11月20日
第二版発行
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本書の特長

  • 2014年7月の安倍内閣による閣議決定で、60年ぶりに憲法解釈が変更されました。また、国民投票法も改正されるなど、憲法改正も現実味をおびてきました。本書では、注目度が高まっている日本国憲法について、成立当時からの歴史的事実や論点などをもう一度検証し、テーマ別に整理しています。
  • 第二版では、集団的自衛権、特定秘密保護法、国家安全保障会議、ヘイト・スピーチ、改正国民投票法など、最新の論点を追加しました。
  • 日本国憲法の意義や論点が1テーマにつき2ページごとに集約されていますので、大学一般教養の憲法テキストに最適です。第一版は多数の大学で採用実績があります。
  • 「教育現場で活用できる」という視点で編集してありますので、高校公民科・中学公民の授業で使えるネタが満載です。
  • 全国学校図書館協議会選定図書に選ばれました。

はしがき

本書も,憲法に関する本には違いないが,判例や学説を引いて法条の意味を講釈するという,いわば法学部的な解説書とは相当趣きを異にしている。法律家あるいはその卵が想定読者でないとすれば,本書は,「一般向け」ということになるが,「一般」などという人はどこにもいないから,いささか後付けめいた釈明を試みれば,本書は,日本国憲法がいかなる歴史的背景を背負って,いかなる人々によって,どのように運用されてきたかを,(執筆者の主観的意図としては)できるだけ分りやすく解説することを目的としたものだ,ということになる。

もっとも,こうした目的をもった本はありそうでいて実際には少ないため,なかなか手本が見つからず,とにかく書き出してはみたのだが,そうなると,法律プロパーの議論はもとより,政治,経済,社会,文化など広い分野の情報を盛り込まなければならなくなった。当然,歴史的に遡った解説も欠かせない。広く店を張れば,これが憲法の話なのかと自分でも心許なくなるし,情報の種類と量とが多くなればなるほど,その正確性も心配になってくる。執筆者としてはそれなりに苦心したのであるが,所期の目的を多少なりとも達成できたか否かは,情報の正確度も含めて読者諸賢の御叱正に俟つしかない。

それにしても,世論の受けも芳しくなく,政界にも全面的支持者をほとんど見出せずに出発した日本国憲法が,覚束ない足取りながらも60年余の生命を保ってきたことは,一つの奇観といえよう。アメリカ合衆国憲法のごとくに国民の崇敬を集めてきたわけではないが,さりとて,誰の邪魔立てをするでもなし,まずは日本人の身の丈に合った着物として,いまさら衣替えも面倒と思われてきたことが,長寿の秘訣であったのかもしれない。護憲・改憲両陣営を問わず,憲法がメシの種という向きには,こうしたどっちつかずの状況は歯痒い限りであろうが,われわれ市井の庶民には,これで別に困りもしないのである。本書は,価値判断を離れて,こうした日本国憲法のありのままの姿をできる限り客観的に描写することに努めた積りである。

執筆者を代表して  安念潤司


目次

  • はしがき
  • 序章 憲法の歴史と日本国憲法の成立
    • 第1節 日本国憲法の成立
      •  
        • 1 国民主権の出発点 〜敗戦と日本国政府の対応
        • 2 「制憲議会」の実態 〜帝国議会における論争(1)
        • 3 国体は変更されたか 〜帝国議会における論争(2)
        • 4 「消極的護憲」の内幕 〜日本国憲法の成立・受容と定着
        • 5 似て非なるもの 〜明治憲法との比較
    • 第2節 天皇制
      •  
        • 1 厳格に区分される「行為」 〜天皇のリアルライフ
        • 2 近代天皇制のあり方 〜天皇制とジェンダー
    • 第3節 9条と平和主義
      •  
        • 1 二度と戦争を繰り返さないために 〜9条と平和主義
        • 2 「戦争放棄」,「戦力は保持しない」ってどういう意味? 〜9条解釈
        • 3 防衛って何? 〜防衛作用と安全保障政策
        • 4 ひとあじ違う安全保障政策 〜安全保障関連政策
        • 5 変容する日米同盟 〜日米安保体制
        • 6 国際の平和の維持 〜国際貢献
        • 7 日本の軍需産業は? 〜経済活動と9条
    • 第4節 改憲
      •  
        • 1 自民党の DNA 〜古典的改憲論の成立
        • 2 改憲論のニュー・ウェーブ 〜改憲は間近か?
        • 3 憲法改正への手続 〜国民投票法
  • 第1章 基本的人権
    • 総説 基本的人権とは何か
      •  
        • 1 すべての者に及ぶ権利 〜人権宣言の理念と歴史
        • 2 世界の共通理解 〜人権保障の国際化
        • 3 自由権・受益権・参政権・社会権 〜憲法上の権利の種類
        • 4 憲法の保障が及ぶ範囲 〜基本的人権の主体
        • 5 憲法の外にいる人々 〜外国人の人権
        • 6 憲法上の権利と私人間の「人権」 〜私人間における人権の保障
    • 第1節 包括的基本権と平等権
      •  
        • 1 知る権利と喫煙の自由では格が違う? 〜幸福追求権と新しい人権
        • 2 環境権と「自然の権利」 〜大阪空港訴訟
        • 3 個人情報保護法とビッグデータ 〜プライバシー権
        • 4 輸血と自己決定権 〜エホバの証人輸血拒否事件
        • 5 日本国民と外国人を分けるもの 〜国籍法事件
        • 6 法と道徳のあいだ 〜尊属殺事件
        • 7 同じ親の子なのに価値がちがう? 〜非嫡出子法定相続分事件
        • 8 ジェンダーってなんだろう? 〜男女共同参画社会
        • 9 同和政策のその後 〜部落差別
        • 10 「旧土人」から「先住民族」へ 〜アイヌ民族問題
        • 11 強制隔離収容政策 〜ハンセン病患者差別
        • 12 一票の較差はどこまで許されるか 〜議員定数不均衡
    • 第2節 自由権的基本権
      • ①精神の自由
        • 1 絵踏みの再来か? 〜「君が代」伴奏拒否事件
        • 2 宗教と世俗の義務の相克 〜剣道実技拒否事件
        • 3 国家と宗教のかかわり合いはどこまで許されるか 〜政教分離
        • 4 政治と宗教の距離感 〜靖國神社をめぐる訴訟
        • 5 ポストにビラを投函しただけで逮捕? 〜表現の自由
        • 6 メディアの公共性 〜報道の自由の意義と取材の自由
        • 7 「送り手」の自由から「受け手」の自由へ 〜知る権利とアクセス権
        • 8 メディアによる人権侵害 〜表現の自由とプライバシー
        • 9 性表現の許容範囲 〜チャタレイ事件
        • 10 ヘイト・スピーチ 〜憎悪表現
        • 11 有害情報から子どもを守れ 〜青少年インターネット環境整備法
        • 12 集まる場所があってこその「集会の自由」 〜泉佐野事件
        • 13 ねじ伏せられた定説 〜天皇機関説事件
        • 14 大学の自治はだれのもの 〜東大ポポロ事件
      • ②人身の自由
        • 1 最も根源的な人権 〜人身の自由
        • 2 行政手続と憲法31条 〜成田新法事件
        • 3 禁止行為の定義はあいまいか? 〜広島市暴走族条例事件
        • 4 逮捕被疑者の命綱 〜弁護士との接見交通
        • 5 違法な証拠は証拠にあらず 〜通信傍受法
        • 6 「虚偽の自白」を防ぐために 〜黙秘権
        • 7 窮極の刑罰 〜死刑の是非
        • 8 無実の服役者に光 〜白鳥決定
        • 9 時間のかかりすぎた裁判 〜高田事件
        • 10 国民の理解と支持は得られたか? 〜裁判員制度
      • ③経済の自由
        • 1 経済的自由とは何か 〜経済的自由の歴史と変容
        • 2 やりたい仕事ができる社会 〜職業の自由の意義,規制目的と規制の態様
        • 3 積極目的と消極目的 〜規制二分論の意義と限界
        • 4 市場にはどの程度の規制が必要か 〜規制緩和と規制の再強化
        • 5 「財産権」は立法府が自由にこねられる粘土か? 〜財産権の意義と規制
        • 6 森林法違憲判決のミステリー 〜財産権をめぐる判例
        • 7 知的財産権はだれのための権利か? 〜財産権の拡張と限界
        • 8 同情するなら金をくれ 〜収用と損失補償
    • 第3節 社会権的基本権
      •  
        • 1 自由と生存 〜社会権の思想と内容
        • 2 健康で文化的な最低限度の生活 〜生存権(1)
        • 3 生存権をめぐるそのほかの裁判 〜生存権(2)
        • 4 「教育を受ける権利」とは? 〜憲法26条の意味
        • 5 校長先生の「窓渡り」はなぜ起きたのか? 〜旭川学力テスト事件と教育権論争
        • 6 「憲法」の改正? 〜近年の教育制度改革と憲法
        • 7 憲法は雇用問題について何を言っているのか? 〜私的自治と憲法27条と28条
        • 8 「労働基本権」の具体的な内容とは? 〜労働基本権をめぐる法制度
        • 9 労働組合は「団結」のためにどこまでできる? 〜労働基本権をめぐる裁判
        • 10 消防職員はストライキを起こせるの? 〜公務員の労働基本権
        • 11 少子高齢社会の社会保障 〜年金改革
    • 第4節 国務請求権と参政権
      •  
        • 1 行政が損害を発生させてしまったら 〜国家賠償請求権(1)
        • 2 憲法訴訟の受け皿としての国賠訴訟 〜国家賠償請求権(2)
        • 3 冤罪と補償 〜刑事補償請求権
        • 4 「法テラス」って何? 〜裁判を受ける権利
        • 5 一票を投じうること 〜選挙権(1)
        • 6 選挙に関するルール 〜選挙権(2)
        • 7 「だれにも」に保障された権利 〜請願権
  • 第2章 統治機構
    • 総説 統治のしくみ
      •  
        • 1 近代憲法の理念 〜民主主義革命
        • 2 抑制と均衡 〜権力分立
        • 3 リベラル・デモクラシー 〜自由主義と民主主義
        • 4 革命の顛末 〜社会主義と立憲主義
        • 5 立憲主義は世界標準? 〜第三世界と立憲主義
    • 第1節 国会
      •  
        • 1 選挙された代表者 〜代表民主制
        • 2 選挙の種類は実質的に2つ 〜選挙制度
        • 3 憲法で規定されない集団 〜政党と派閥
        • 4 法律制定のハードル 〜両院制
        • 5 特権で守られる「全国民の代表」 〜国会議員の地位
        • 6 閣法は想定外 〜立法のしかた
        • 7 議院の権能 〜国政調査権
        • 8 政界をめぐる人々 〜産業としての政界
    • 第2節 内閣
      •  
        • 1 変貌を続ける政策決定過程 〜議院内閣制
        • 2 定義し難い身近な権力 〜行政権(1)
        • 3 内閣は行政権を「独占」するか?(独立行政委員会) 〜行政権(2)
        • 4 内閣総理大臣ってどういう人? 〜内閣の構成・機能・消滅(1)
        • 5 国務大臣とは 〜内閣の構成・機能・消滅(2)
        • 6 ダイナミックな内閣の仕事 〜内閣の権限(1)
        • 7 他の機関との関係でもっている権限 〜内閣の権限(2)
        • 8 日本の官僚組織はやっぱり巨大? 〜行政国家・霞が関
        • 9 行政改革 〜内閣機能の強化
        • 10 どこまでが政府の仕事か? 〜大きな政府と小さな政府
    • 第3節 裁判所
      •  
        • 1 日本国憲法は司法権の地位をどのように高めたか 〜大津事件
        • 2 司法が裁けない問題 〜板まんだら事件
        • 3 「憲法の番人」は超激務 〜最高裁と三審制
        • 4 裁判官も終身雇用制? 〜宮本判事補事件
        • 5 裁判の公開はだれのため? 〜法廷メモ訴訟
        • 6 日本の違憲審査制はアメリカ型 〜警察予備隊訴訟
        • 7 最高裁は変わったか? 〜司法消極主義
        • 8 国民から信頼される司法制度へ 〜司法制度改革
        • 9 新制度でも合格は至難 〜法曹三者
    • 第4節 財政
      •  
        • 1 民主政治の根幹 〜財政民主主義の原則
        • 2 一般会計と特別会計 〜予算制度
        • 3 政府運営の原資調達 〜税制
        • 4 私学助成は許されるか 〜公金支出の制限
    • 第5節 地方自治
      •  
        • 1 21世紀は「地方の時代」? 〜地方自治の本旨
        • 2 地方公共団体の統治システムとは? 〜地方自治のしくみ
        • 3 婚活支援の条例も! 〜条例制定権
        • 4 「拒否権」から「参考意見」までいろいろ 〜住民投票
        • 5 国から地方へ,移譲される権限 〜地方分権
        • 6 健康で文化的な最低限度の「自治」を営む権利? 〜地方財政
  • 索引
  • 編著者一覧

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