指第15号

平成8年3月12日

 

各都道府県衛生主管部(局)長 殿

 

厚生省健康政策局指導課長

 

トリアージ・タッグの標準化について

 

標記については、「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会」において平成8年2月26日に示されたところであるが、今後、災害、救急医療体制の一層の充実を図るためには、別紙のとおりトリアージ・タッグの標準化を進めることが望ましいので、貴下においてトリアージ・タッグの作成等を図る際はこれを踏まえて行い、貴管下市町村等に対しても周知するとともに、適切なご指導方よろしくお願いする。

 

別 紙

1 トリアージは、災害発生時等に多数の傷病者が同時に発生した場合、傷病者の緊急度や重症度に応じて適切な処置や搬送を行うための傷病者の治療優先順位を決定することをいい、その際に用いるタッグ(識別票)をトリアージ・タッグという。

2 トリアージ・タッグは、被災地内の医療機関においては、簡易カルテとして利用することも可能なものであり、また受入患者の総数や傷病程度別患者数をより的確に把握することができ、傷病者の後方病院への円滑な搬送という観点においてもその活用が期待されるところである。

 現在、医師会、消防機関、日本赤十字社、自衛隊等でそれぞれ異なった様式・形式のトリアージ・タッグが使用されているところであるが、複数の機関が参集する大規模災害における混乱を避けるため、大震災等の広範囲の大規模災害で複数の救急救助機関が関わる場合を想定した、トリアージ・タッグの標準を下記のとおりとした。

 

 

① タッグの形状及び寸法

23.2㎝(縦)×11㎝(横)とする。

② タッグの紙質

水に濡れても字が書けるなど、丈夫なものとし、本体はやや厚手のもの、複写用紙は本体より薄手のものとする。

③ タッグ用紙の枚数

3枚とし、1枚目は『災害現場用』、2枚目は『搬送機関用』とし、本体は『収容医療機関用』とする。

④ タッグの形式

モギリ式としモギリの幅は1.8㎝とする。

⑤ タッグに用いる色の区分

軽処置群を緑色(Ⅲ)、非緊急治療群を黄色(Ⅱ)、最優先治療群を赤色(Ⅰ)、死亡及び不処置群を黒色(0)とする。

モギリ片の色の順番は、外側から緑色、黄色、赤色、黒色で両面印刷とし、ローマ数字のみ記載し、模様や絵柄は記載しない。

⑥ 傷病者の同定及び担当機関の同定等に係る記載内容

傷病者の同定の項目については、「氏名」「年齢」「性別」「住所」「電話」とし、外国人の家族や本人が記載することも想定し、これらの項目については英語を併記する。

担当機関の同定等の項目については、「(タッグの)No.」「トリアージ実施月日・時刻」「トリアージ実施者氏名」「搬送機関名」「収容医療機関名」とする。

また、3枚目の『収容医療機関用』の裏面の上部には「特記事項」の記入できるスペースを設けることが望ましい。

⑦ タッグ製作主体の裁量部分

地域において想定される災害の頻度や種類が異なることや、医療機関で独自に作成する場合には簡易カルテとしても利用することが可能なよう、当該部分については、タッグ製作主体の裁量により作成するものとする。

具体的な項目例として、(イ)傷病者のバイタルサイン、人体図等の当該傷病者の傷病状況に関する事項、(ロ)タッグ製作主体の名称、マーク等が考えられる。

 

別図