これからの商業教育,学校教育の在り方を考えるためのヒントが満載!
商業教育の理念から現在に至るまでの変遷についても解説した,
商業教育が体系的に学べる一冊
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Society 5.0といわれる新たな時代を迎えようとしている。そのような中,2030年とその先の社会のあり方を見据えて高等学校学習指導要領の改訂が行われ,2018(平成30)年3月に告示された。
これからの社会においては,IoT,ロボット,人工知能,ビッグデータ等の先進技術を活用することで,新たな価値を創出し,地域,年齢,性別,言語等による格差なく,多様なニーズ,潜在的なニーズにきめ細かに対応したモノやサービスを提供できるようになると予測されている。社会の変化により,そこで求められる人材も変化することから,教科商業科においては,その目標の中に育成を目指す人材像が示されるとともに,引き続き有為な人材を育成していくため,グローバル化の進展への対応,情報技術の進歩への対応,地域におけるビジネスの推進への対応など,教科の特質に即して内容等の改善が図られた。
本書は,産業界,大学,高等学校関係者など幅広い方々の協力を得て改訂された新高等学校学習指導要領の教科商業科の内容等について,商業科の教師を志す学生の皆さんに理解を深めていただくことや,各高等学校において商業科の教師として活躍されている先生方の授業改善に役立てていただくことなどを目的に発行したものである。そのために,学習指導要領の改訂に携わった教育関係者や企業経営者の方,高等学校において優れた教育実践を積み重ねてこられた商業科の先生方や教育委員会の指導主事の方に執筆をお願いし,理論的な内容と実践に生かすことができる内容とで構成した。
日本においては,普通科高校の割合が極めて高く,働くことやビジネスマナー,組織の一員としての役割や責任などを学ぶ機会が限られており,多くの若者が,様々な気がかりなことをもったまま社会に送り出されている。
教科商業科では,こうした社会で必須の内容はもとより,ビジネスで活躍する上で必須となるコミュニケーション,マーケティング,マネジメント,会計,情報などを扱ってきた。このような内容を指導することを通して,経済社会の発展を担う人材を育成してきた。経済社会の発展のため,教科商業科は引き続き人材育成に重要な役割を果たしていかなければならない。それを後押しするよう,教科商業科に対してより一層の正しい理解と評価が与えられることを願っている。
2020(令和2)年10月
元文部科学省初等中等教育局 教科調査官
北海道札幌東商業高等学校長
西村 修一